INTERVIEW
Satoko Sai + Tomoko Kurahara 作品とプロダクトのあいだ [ 2 ]
昨日に引き続き、Satoko Sai + Tomoko Kuraharaのアトリエでのインタビューをお届けします。
2話目では具体的に製作過程のことなどをお伺いしました。
movieと合わせてどうぞご覧ください。
今回はたたら作りという技法で作っています。型紙で形をとって、それをカップの形に成形していきます。型を使っていても、底の部分や持ち手は一つ一つ手作業で作っていくので、全く同じ形にはならないんですね。
プレートは型で形を作っているので、形はカップよりは均一になりますが、転写の工程で個体差が出ます。
形が出来上がったら素焼きをし、その上に転写をして低温で焼き、さらに釉薬をかけて本焼きをします。転写の作業は見ていても華やかで面白いですよ。
直接お皿に転写するのかと思っていたら、シートに一度プリントするんですね。


はい、まずはシートに柄や絵を転写して、それを陶器にさらに転写するような感じです。シートに転写する段階でも色がかすれたり、ムラになったりして全く一緒のものにはならなくて、それが個体差になって面白いんです。
ちょうどいいかすれ具合が生まれるように、少し高さを出してシルクスクリーンの版を設置するようにしているんですよ。
そうなんですね!確かにちょうどいいかすれ具合。味わいがありますね。プリントする色も綺麗な色です。
ありがとうございます。下絵の具は、なるべく人工的なものを入れずに調合しています。もちろん顔料や釉薬を使うんですけど、実は木の根やハチミツとかも入っています。
木の根やハチミツ!驚きです。そして、今シートをお皿に転写されていますが、すごく綺麗にできるんですね。面白そう。

力加減で転写される濃さが変わるのですが、この工程は、以前はワークショップでも行なっていました。皆さんに好きなシートを選んでもらって、好きな場所にプリントするっていう。最近はなかなか難しいですが、参加してくださった方は皆さんとても素敵に作ってくださって、人気のワークショップなんです。
楽しそう。いつか参加してみたいです!お二人は、製作工程の中でそれぞれ役割分担のようなものはあるんですか?
それ皆さんに聞かれるんですけど、特に分担はないんです。
今日は私が転写をするから、蔵原さんは別のことをやって、とかっていう作業の分担はありますが、きっちり担当分けがあるのではなく、全行程を二人で一緒に製作している感じです。どの工程も、自分じゃなきゃできない、っていうことがないんですよね。どちらの手でも作れるっていうのも、自分たちの作り方ならではなのかなと思います。

そうなんですね。陶芸ユニットっていうのも珍しい形だと思うのですが、お二人は学生時代からずっと一緒に製作されているのですか?
同じ大学に通っていたのですが、バイト先が一緒だったんです。それがきっかけで一緒に展示をすることになったのが始まりです。それぞれが別の場所に留学していた期間もあるのですが、その時からずっと二人で活動しています。
二人とも一点の工芸品のようなものを作りたいわけではなく、生活の中にあるアートのようなものを作りたいという想いがあったり、先ほどお話ししたみたいな中量の生産をしてみたかったり、作りたい方向が一緒で、それを形にするために自然と二人で続けることになりました。
今回のようにテーマをもらって、作品を作ることも多いのでコンセプトを話しながらお互いのアイデアを出して作っていく工程も楽しくて、二人でやるから形にできることもたくさんあります。これからもアートと日常を行き来するような作品を作っていけたらと思っています。
これからお二人からどんな作品が生まれるのか、楽しみです。いつかgrandmothersシリーズは、これから2ヶ月おきに販売する形になりますが、全部揃ったらどこかで展示ができたら嬉しいなと思います。今日は貴重な製作過程まで見せていただきありがとうございました。

INTERVIEW PROFILE

崔聡子Satoko Sai

蔵原智子Tomoko Kurahara

土屋あすかAsuka Tsuchiya