INTERVIEW

伝統をいまの形に 澤井織物工場

東京都八王子市は400年余りの歴史のある、織物の産地。「多摩織り」という名前で親しまれています。

その土地で、4代・120年にわたって織物の技術を磨き続けている「澤井織物工場」さんと一緒に、シンプルで肌触りの良いウールのストールを作りました。

4代目の澤井伸さんに、伝統工芸としての織物のこと、澤井織物工場の新しい取り組みについてのお話をお伺いしました。実際にストールを製作している風景も見せていただきましたので、合わせてご覧ください。

今ちょうどアンビヒャッカでオーダーさせていただいている別注のストールを製作してくださっているということで、今日は製作風景と合わせて澤井織物さんのものづくりについてお伺いしたいと思います。早速なのですが、「多摩織り」とはどんな織物なのですか?

多摩織っていうのは、あきる野市を含め、八王子周辺で織られている絹織物のことを指します。

織り方によっていくつか種類があって、袴地・紬織・風通織・お召し織・捩り織の5種類の織物のことで、全部機械は同じなんですが織り方が違います。

帯や着物の反物として作られてきて、昭和55年に伝統工芸として認定されました。工芸品として美術館や百貨店で展示されることもありますよ。

そうなんですね。今回作っていただいたウールのストールは、多摩織とは違った技術で作られていますよね。

今回はシャトル織機という機械で作っています。私たちの工場では時代に合わせて、多摩織だけではなく色々な製品を作るようになってきました。

これは昔からある機械ですが、低速でゆっくり織るので縦糸にも横糸にも負担がかからず柔らかい風合いに仕上がります。

糸と糸の隙間をあけて織るので、そこに空気の層が含まれてふんわり柔らかくなり、使う時には暖かい。

うちでは、最後に水洗いをして縮絨させて仕上げているので、さらに肌触りがよく気持ちが良いストールが出来上がります。

なるほど!ウールなのにチクチクせずにとても軽いのは、仕上げに理由があるのですね。今回はオリジナルでチェックの柄と無地で横にラインを入れたデザインを作っていただきました。今日は二つの機械で、柄と無地を作っていただいていますが、隙のない動きに見とれてしまいます。柄は自由に作れるんですね。

柄はコンピューターで管理されているので、一度設定すれば間違えることなく織れますが、縦糸は1106本あって、最初の糸の設定や途中の糸の調整は職人が手作業でやっています。

今機械に入っている糸は表面にコーティングがされていて固い状態なので、織り終わった後に先ほど話したように洗いをかけてコーティングを取り柔らかく仕上げます。全部同じ風合いに仕上げるのは、織るのよりも難しいかもしれない。

仕上げに職人の技が必要なんですね!澤井さんの工場で働いている方は、若い方が多いですね。職人と聞くとベテランの方をイメージしていたので意外でした。

そうかもしれないですね。

美大を卒業して働き始める子も多いです。多摩織は伝統工芸ですが、うちには海外の企業から新しい生地の開発の依頼や相談があって、常に新しいことをやっています。

IT企業からはA.Iを使ったものづくりとか、Googleと一緒に素材開発をしたこともあります。アパレルだと最近では桑茶を使った染物だったり、ニードルパンチでカラフルなストールを作ったり、いろいろやっていますよ。それぞれ、手のかかることが多くて作品のようなものが多いから、それを製品として仕上げて流通させるっていうのが難しくて、その技術が一番大変かな。

凝りすぎてサンプルだけで終わることも多いけど笑

A.IやIT企業・・・!?伝統工芸とは真逆のイメージです。何かきっかけがあったのですか?

以前海外の展示会に出たことがきっかけで、色々な企業から声がかかるようになりましたね。伝統工芸を若い人に使ってもらいたいという気持ちもありますし、受け継がれてきたものをやっぱり続けていきたいからね。

今取り組まれていることはあるのですか?

新型コロナの影響で、海外からのお客様は減っているのだけど、企業からは引き続き色々話をいただいていますね。これからは、リサイクルしないものを作っていきたいと思っているんですよ。リサイクルすることを前提にしたものって、結局エネルギーをたくさん使いますよね。だから使い切れるもの。ゴミにならないものを作っていきたいなと。天然繊維だったら最後に土に還る。丈夫なものだったら何代にも渡って、ものの寿命が終わる使うことができる。そういうものを作っていきたいですよね。それをどうやって、みんなに伝えていくかというのもこれからは大切ですよね。

そうなんですね。私たちも、ワンシーズンで終わらないものをお届けしたいと思ってシンプルで肌触りの良いストールを作っていただきました。オンラインとショップと両方でお客様に良さを伝えていきたいです。今日は貴重な製作風景とお話しありがとうございました。

INTERVIEW PROFILE

澤井 伸Shin Sawai

澤井織物工場 4代目

有限会社澤井織物工場代表取締役社長。
25歳のころから家業に携わり、

2018年に「卓越した技能者」として厚生労働省から表彰される。

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